卵を立てるのは立春の日?春分の日?
2022/02/01 19:00
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2022年2月1日は、春節!旧暦の1月1日です。あけましておめでとうございます。
そして、2022年2月4日は「立春」。旧正月より遅く来るので「新年立春」です。
さて「中国では立春の日に卵を立てる」という話があります。
卵がうまく立てば、その年の天候や作付けが順調だということだったりするらしい。
新年だから、その年の吉凶を卵で占ったわけですね。
(生卵は集中すれば誰でも立てられると思うので、絶対大吉になる占いだと思うけど)
そんな卵立て、いつからの風習なのかな?と調べてみました。
レッツ検索!!
中谷宇吉郎「立春の卵」が1947(昭和22)年に「立春の日に卵が立つ」という文章を書いています。
そのため、上海では立ててみようと卵が買われて値段が急騰したそう。
上記の証拠として、NHKアーカイブにニュース動画がありました。
「中央気象台の技師が実験をして、関連性がないことを実証」(笑)。
中谷氏の記述では、「中国の現紐育(ニューヨーク)総領事張平群氏が、支那の古書『天■(賢という字の貝の部分が且)』と『秘密の万華鏡』という本から発見したものだそう。
そして、「国民党宣伝部の魏氏が一九四五年即ち一昨年の立春に、重慶でUP特派員ランドル記者の面前で、2ダースの卵をわけなく立てて見せた」とあるのですが、この古書がうさんくさい。
古書の読み方をレファレンスした情報からも、読み方が見つからない…。
中谷氏も「だそうである」と伝聞表現。この本は本当に実在するのだろうか?
ネットでの検索では、中谷氏の記述である「1945年、中国ニューヨーク総領事張氏、支那の古書『天■(賢という字の貝の部分が且)』と『秘密の万華鏡』、国民党宣伝部の魏氏、重慶のUP特派員ランドル記者」という存在、すべて中谷氏の記述しかヒットしない。
この同じ1945年、「中国の習慣として卵が立つ」という記事があったという記述が、ナショナルジオグラフィックスペシャルのページにあります。
「アメリカ『ライフ』誌のジャコビー特派員が1945年に『中国の習慣である卵を立てる儀式』を記事にし、それを全米の新聞社に向けて配信」した。このことは、「春分の日のあいだは、太陽がちょうど赤道の上を通り、昼夜の長さが等しくなるから卵が立つ」という俗説になり西欧社会に広まった。
「立春」が、「春分の日」に変わっている!
「春節(Shunsethu)」は旧暦1月1日。Lunar New Year; Chinese New Year; Spring Festival.
「立春(Risshun)」は1年で最も昼の短い日である冬至と、昼と夜の長さが同じ日である春分の中間。the day between the winter solstice, the shortest day of the year, and the vernal equinox, the day when day and night are the same length.
「春分の日(Shunbun-no-hi)」は昼と夜の時間が同じ日。Vernal Equinox Day;The first day of spring
なんで日にちが変わってしまったのだろうか?
おそらく通訳が「立春」を説明するときに、「春の始まりの日」として「the first day of spring」と訳してしまったのではないか?
そして欧米で「The first day of spring」と言ったら、「春分の日」なのでは?
これが「立春」と「春分の日」を混同させることになった原因のような気がしてなりません。
謎なのは、同時期なのに、どうしてジャコビー特派員の記事が西欧に広がり、ランドル記者の重慶の実験が西欧に広がらなかったのかということ。
どなたか知ってたら教えてください。
さて1947年当時、同じ中国なのに上海の人たちが「卵を立てる」という風習を知らず、卵を買い占めたということが謎だったので、もともとどこの地域の行事だったのか調べてみました。
見つかったのはウルムチ。
ウイグル地区なのでモンゴル?ロシアに近い。
だとすれば、上海の人が知らないのもうなずける。
ウルムチへの旅行を調べると、カザフ族のゲルに泊まるなど、遊牧する騎馬民族のイメージが強い。
もしかして立てる卵はニワトリじゃなくて、彼らが鷹狩りするために飼っていた鷹の卵だったのではないだろうか…。
…なんかいいなそれ。
でも、このウルムチの風習も、戦後に伝わったものかも知れません。
というのも、現在の中国で、「中国には『春分になると卵が立つ』ということわざがあり、昔から春分は卵が最も立ちやすい日だと言われている」と春分行事をした北京の幼稚園のニュースが…。
そして台湾では卵を立てる行事が「端午の節句」であるらしい。
結局のところ、どこで、いつから卵を立てる行事は始まったのか、わかりませんでした。
立春なのか、春分の日なのか、はたまた端午の節句なのか。謎!
卵立てボードを使っています。網が5級で、2級までだんだん紙やすりの目が細かくなってます。何もない机で立てたら「1級」。卵を何もないところで逆さに立てれたら「特級」。
・立春と旧正月は混同されがちだけど違うという話
そして、2022年2月4日は「立春」。旧正月より遅く来るので「新年立春」です。
さて「中国では立春の日に卵を立てる」という話があります。
卵がうまく立てば、その年の天候や作付けが順調だということだったりするらしい。
新年だから、その年の吉凶を卵で占ったわけですね。
(生卵は集中すれば誰でも立てられると思うので、絶対大吉になる占いだと思うけど)
そんな卵立て、いつからの風習なのかな?と調べてみました。
レッツ検索!!
卵を立てる行事はいつから?
中谷宇吉郎「立春の卵」が1947(昭和22)年に「立春の日に卵が立つ」という文章を書いています。
そのため、上海では立ててみようと卵が買われて値段が急騰したそう。
青空文庫「立春の卵」中谷宇吉郎
「立春の卵」中谷宇吉郎
上記の証拠として、NHKアーカイブにニュース動画がありました。
「中央気象台の技師が実験をして、関連性がないことを実証」(笑)。
NHKアーカイブ
昭和22年(1947年)、本来、その形状から立つはずのない卵が、立春に限って立つという噂が世界中を駆・・・
中谷氏の記述では、「中国の現紐育(ニューヨーク)総領事張平群氏が、支那の古書『天■(賢という字の貝の部分が且)』と『秘密の万華鏡』という本から発見したものだそう。
そして、「国民党宣伝部の魏氏が一九四五年即ち一昨年の立春に、重慶でUP特派員ランドル記者の面前で、2ダースの卵をわけなく立てて見せた」とあるのですが、この古書がうさんくさい。
古書の読み方をレファレンスした情報からも、読み方が見つからない…。
中谷氏も「だそうである」と伝聞表現。この本は本当に実在するのだろうか?
レファレンス共同データベース
中谷宇吉郎の著作「立春の卵」に出てくる「天■(賢という字の貝の部分が且)」の読み方を知りたい。 | レファレンス協同データベース
レファレンス協同データベース(レファ協)は、国立国会図書館が全国の図書館等と協同で構築する調べ物のための検索サービスです。参加館の質問・回答サービスの事例、調べ方、コレクション情報など調査に役立つ情報を公開しています。
ネットでの検索では、中谷氏の記述である「1945年、中国ニューヨーク総領事張氏、支那の古書『天■(賢という字の貝の部分が且)』と『秘密の万華鏡』、国民党宣伝部の魏氏、重慶のUP特派員ランドル記者」という存在、すべて中谷氏の記述しかヒットしない。
立春がいつのまにか春分の日に
この同じ1945年、「中国の習慣として卵が立つ」という記事があったという記述が、ナショナルジオグラフィックスペシャルのページにあります。
「アメリカ『ライフ』誌のジャコビー特派員が1945年に『中国の習慣である卵を立てる儀式』を記事にし、それを全米の新聞社に向けて配信」した。このことは、「春分の日のあいだは、太陽がちょうど赤道の上を通り、昼夜の長さが等しくなるから卵が立つ」という俗説になり西欧社会に広まった。
ナショジオスペシャル
科学か迷信か 春分の日に卵がまっすぐに立つ理由|ナショジオ|NIKKEI STYLE
重いものほど速く落ちる。この思い込みが間違いであると示したのは、ガリレオ・ガリレイだ。多くの人が直感的に正しいと信じていることでも、実験や観察によってそれが迷信にすぎなかったと明らかになることがある。ナショナル ジオグラフィックの別冊『科…
「立春」が、「春分の日」に変わっている!
「春節(Shunsethu)」は旧暦1月1日。Lunar New Year; Chinese New Year; Spring Festival.
「立春(Risshun)」は1年で最も昼の短い日である冬至と、昼と夜の長さが同じ日である春分の中間。the day between the winter solstice, the shortest day of the year, and the vernal equinox, the day when day and night are the same length.
「春分の日(Shunbun-no-hi)」は昼と夜の時間が同じ日。Vernal Equinox Day;The first day of spring
なんで日にちが変わってしまったのだろうか?
おそらく通訳が「立春」を説明するときに、「春の始まりの日」として「the first day of spring」と訳してしまったのではないか?
そして欧米で「The first day of spring」と言ったら、「春分の日」なのでは?
これが「立春」と「春分の日」を混同させることになった原因のような気がしてなりません。
謎なのは、同時期なのに、どうしてジャコビー特派員の記事が西欧に広がり、ランドル記者の重慶の実験が西欧に広がらなかったのかということ。
どなたか知ってたら教えてください。
中国でもごっちゃになった卵立て行事
さて1947年当時、同じ中国なのに上海の人たちが「卵を立てる」という風習を知らず、卵を買い占めたということが謎だったので、もともとどこの地域の行事だったのか調べてみました。
見つかったのはウルムチ。
立春に卵を立てる
新疆ウルムチ 立春に生卵を「立てる」珍しい風習 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2009年2月5日
だとすれば、上海の人が知らないのもうなずける。
ウルムチへの旅行を調べると、カザフ族のゲルに泊まるなど、遊牧する騎馬民族のイメージが強い。
もしかして立てる卵はニワトリじゃなくて、彼らが鷹狩りするために飼っていた鷹の卵だったのではないだろうか…。
…なんかいいなそれ。
でも、このウルムチの風習も、戦後に伝わったものかも知れません。
というのも、現在の中国で、「中国には『春分になると卵が立つ』ということわざがあり、昔から春分は卵が最も立ちやすい日だと言われている」と春分行事をした北京の幼稚園のニュースが…。
春分に卵を立てる
幼稚園で春分行事 園児が卵を立てる 「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年3月21日
そして台湾では卵を立てる行事が「端午の節句」であるらしい。
端午の節句に卵を立てる
旧暦の5月5日は端午節。台湾に来て2年目になりますが、今年初めて端午節の日に、「卵を立てる」、という文化を知りました。「卵を立てる」意味は何なのか? 日本にもない文化なので、その風習の背景・目的について解説してます。一度は、卵を立ててみたくなるかも?しれません。
結局のところ、どこで、いつから卵を立てる行事は始まったのか、わかりませんでした。
立春なのか、春分の日なのか、はたまた端午の節句なのか。謎!
卵を立てる
卵立てボードを使っています。網が5級で、2級までだんだん紙やすりの目が細かくなってます。何もない机で立てたら「1級」。卵を何もないところで逆さに立てれたら「特級」。
参考
・立春と旧正月は混同されがちだけど違うという話
立春
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